オリーブオイルで揚げ物をするといい。なんとなくこんなことを聞いたことはありませんか。
なんかオシャレそうだし、美味しくなりそうというイメージだけで本当の理由を知らない人も多いと思います。
この記事ではオリーブオイルが揚げ物に適している理由からデメリットまで解説します。
目次
揚げ物と油
揚げ物の油の温度といえば170℃〜180℃、実は油によって加熱による酸化の進みやすさが違います。
油が空気中の酸素分子と反応して起こる変化の総称。酸化することで色や味の変化、栄養価の低下などを引き起こす。
油が酸化すると、がんや老化・動脈硬化などを引き起こす「過酸化脂質」という有毒な油が生成されます。
油はそのままでも酸化が進みますが、熱によって加熱が促進されるため注意が必要です。
そんな中でもオリーブオイルは酸化しにくい油と有名です。
理由はオリーブオイルに含まれる成分。オメガ9系脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)と呼ばれる成分の効果により190℃までの加熱に耐えるのです。
オリーブオイルを揚げ物に使うとどうなる?
メリット
カリッ、サクッと揚がる
オリーブオイルは食材の表面にカリカリな層を作ります。これによって油が中に浸透せず、素材の味をしっかりと引き立たせることもできます。
軽い感じに仕上がる
油が中に浸透しないので油っぽさが少なく、軽い感じの揚げ物を作ることができます。
油の匂いが少ない
揚げ物をする際には部屋に油の匂いが広がりますが、オリーブオイルは油臭さが少なくなります。
ニオイのもとは油の「酸化」。オリーブオイルは酸化しにくい油のためにおすすめです。
デメリット
コストがかかる
一般的に調理にはサラダ油が使われることが多いですが、オリーブオイルはサラダ油の約2.8倍高いとされています。
生食用に購入するならまだしも、一度にたくさん利用する揚げ物に使うには少しコスパが悪く感じてしまいますね。
オリーブオイルの種類を把握する必要がある
オリーブオイルは精製方法の違いで種類がことなり、それぞれのオリーブオイルで特性が少し異なります。
油には発煙点という加熱した際に煙が出る温度があります。
バージンオリーブオイルはこの発煙点が160℃と言われており、知らずに調理すると煙が出てしまうことがあります。
使う油がバージンオリーブオイルの場合は低温でじっくりと揚げる料理にしましょう。
一方ピュアオリーブオイルは200℃なので通常の揚げ物の使い方で問題ありません。
バージン:オリーブオイルの実を搾っただけのオイル。香りや味わいがフレッシュ。
ピュア:搾ったオイルを精製して作った香りや味のない「油」にバージンオリーブオイルを混ぜて香りや風味をつけた混合油
オリーブオイルとサラダ油はどんな違いがある?
ここまででオリーブオイルでの揚げ物をする良さをお伝えしましたが、そもそもサラダ油とオリーブオイルにはどのような違いがあるのでしょうか。
香りや味の違い
オリーブオイル | サラダ油 | |
香り | 品種や産地によって香りに違いがある | 控え目であまりない |
味 | オリーブ独特の風味あり 特有の辛みや苦みあり |
控え目であまりない |
栄養素の違い
主な栄養素(100gあたり) | オリーブオイル | サラダ油 |
一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など) | 74.04g | 41.1g |
多価不飽和脂肪酸(リノール酸、αリノレン酸など) | 7.24g | 40.94g |
αトコフェロール | 7.4mg | 12.8mg |
γトコフェロール | 1.2mg | 56.4mg |
共通する栄養素を比較してもオリーブオイルとサラダ油では含有量が全然違いますね。注目したいのは「オイレン酸」と「リノール酸」です。
【オイレン酸】
抗酸化作用のある成分でオリーブオイルに多く含まれています。期待される効果はこちら。
・コレステロール値の低下
・動脈硬化や心疾患の予防
・便秘解消
【リノール酸】
オイレン酸に比べて酸化しやすい成分でサラダ油に多く含まれています。期待される効果はこちら。
・コレステロール値の低下
・体の炎症の抑制
※過剰摂取による健康への影響が懸念されています。なんでも摂りすぎはよくないということですね。
オリーブオイルとサラダ油の使い分け
オリーブオイルとサラダ油はどのように使い分ければいいのでしょう?ここでは「料理の味と香り」「健康面」の2つに分けて解説します。
料理の味や香り
オリーブオイルとサラダ油は「味・香り」が全然違います。
【サラダ油】
控えめで主張が少ない油です。素材本来の味や風味を楽しみたい場合にはこちらがおすすめです。和食にはこのようなパターンが多いので、和食中心の生活のあなたにはサラダ油がおすすめです。
【オリーブオイル】
独特の風味と香りがする油です。そのままかけたり、少しの調味料と混ぜてサラダなどにかけるとオリーブオイルを楽しむことができます。オイルの風味を感じる洋食などで重宝され、パンにそのままつけて食べるのもおすすめです。
健康面
抗酸化作用や生活習慣病の予防など、オリーブオイルが健康にもたらす効果は多く期待できます。健康面を考えるとオリーブオイルの使用がおすすめです。
しかしオリーブオイルはサラダ油に比べると少し割高です。油を大量に使う揚げ物の時に使うには家計への負担が大きいのも事実。
そんな時は混ぜて使用するのがおすすめです。オリーブオイルの効果である抗酸化作用がサラダ油自体の酸化をにぶらせることができます。混ぜる目安は3:1(オリーブオイル:サラダ油)です。
オリーブオイルの栄養素
オレイン酸
オレイン酸は不飽和脂肪酸の一種で酸化しにくい性質を持ったオメガ9系の油です。
不飽和脂肪酸は魚や植物系の脂に含まれており、悪玉コレステロールを抑制します。また、オメガ9系の油は血管を健康に保つ効果もあります。
体内でも作ることはできるのですが、不足がちになるため食事による接種が勧められています。
ポリフェノール
ポリフェノールは植物が光合成によって生成する抗酸化物質です。ほとんど全ての植物に含まれていて、植物の色や苦みの元にもなっています。
ポリフェノールの持つ抗酸化作用は人間にも有用で、人間の体内で生成される「活性酸素」を取り除いてくれます。
活性酸素は体内の脂質を酸化させて過酸化脂質と呼ばれる物質に変えてしまいます。これにより免疫機能低下や老化、動脈硬化の原因にもなります。
クロロフィル
またの名を葉緑素といいます。理科の授業で聞いたことありますね。植物や藻類などに含まれる緑色の天然色素のことです。
葉緑素は植物の成分ですが、人間の血液の色素と似た構造をしています。
そのため、体内に摂取された葉緑素は血液中で鉄と結合し、赤血球や筋肉のヘモグロビンなどの色素に変わります。
また、食物を通して接種してしまう一部の有害物質を吸着して排出させる解毒作用も持っています。
血管内のコレステロールを吸着する働きもあるので、コレステロールを抑えて血液の流れをよくする働きもあります。
オリーブオイルの健康効果
オリーブオイルは健康に良いと言われています。
オリーブオイルに含まれているオレイン酸やポリフェノール、ビタミン類などの成分が高い健康効果に繋がるとされているからです。
抗酸化作用
普段の呼吸をする中で酸素の一部が変化して生まれる活性酸素は、体内の脂質を過酸化脂質に変化させて免疫機能の低下や老化を引き起こします。
また、細胞へのダメージや動脈硬化などの生活習慣病の原因になります。これらはストレスでも増えるといわれていますが、抗酸化作用があれば防いでくれます。
オレイン酸やポリフェノールに含まれる抗酸化作用は、活性酸素の攻撃を抑制してくれます。保湿成分も多いためシワの予防になり、美容効果にも期待できます。
生活習慣病の予防
悪玉コレステロールの増加や加齢により血管がもろくなったり、詰まったりすることがあります。そうなると動脈硬化、心筋梗塞などの生活習慣病になることも。
オリーブオイルに含まれるオレイン酸は悪玉コレステロールを抑制する効果があり、クロロフィルは血液の流れをよくする働きがあります。
血液がうまく循環しないと酸素や栄養素を体の隅々まで届けることが難しくなり、心臓に負担をかけてしまいます。
ダイエット効果
オリーブオイルに含まれるオレイン酸は脂質の代謝を活性化する作用があるため脂肪燃焼効果が期待できます。
他にも満腹中枢をしげきする効果があり、食べ過ぎることを防ぎ食欲を抑えることができます。
オレイン酸が脳の満腹中枢を刺激するまでには時間がかかるので、食事の約1時間前にオリーブオイルを摂取するのがおすすめです。
また、オリーブの香りの作用でセロトニンという脳内物質が分泌されます。セロトニンは精神を安定させる効果があり、ダイエット中の空腹感によるストレスを軽減します。
脳内の神経伝達物質のひとつで、精神を安定させる効果がある。(別名:幸せホルモン)
日光浴やリズミカルな運動によって活性化される特徴がある。人との触れ合いも効果的。
腸内環境の改善
オリーブオイルの主な成分であるオレイン酸には、腸内を刺激して蠕動運動を活発にして排便を促す働きがあります。
また、オリーブオイルには不溶性の食物繊維が含まれていて、便の硬さを調整する作用があります。そのため、腸内での便の通りが良くなって便秘が解消されやすくなります。
腸内環境の改善や免疫力の向上や、体脂肪を溜めにくい体づくりにも役立ちます。
オリーブオイルの注意点
保存方法
オリーブオイルの最適な管理温度は約15℃〜25℃と言われています。流しの下や床下収納などの冷暗所での保管がおすすめです。
注意したいのは冷蔵庫での保存。オリーブオイルを冷蔵庫で冷やすと固まりますが、使用するさいには溶かす必要があります。この繰り返しが劣化の原因となるので冷蔵庫での保存は控えましょう。
また、光と熱にも弱いので、日光が当たる窓際や調理のさいに暖かくなるコンロの周りも控えましょう。
賞味期限
オリーブオイルの使用目安は開封後1〜3ヶ月です。劣化しづらい油と言われているオリーブオイルですが、封を開けたら酸化が始まります。
酸化した油は体内で活性酸素が発生しやすく、体によいことではありません。嫌な匂いがしたり、泡が消えないなどの変化が起こった際には処分も検討しましょう。
カロリー
ヘルシーで体に良いイメージのあるオリーブオイルですが、他の油と変わらずカロリーは高い傾向にあります。実はカロリーだけで見ると「オリーブオイル>バター」なのです。摂取量には気をつけながら、普段バターやマーガリン、サラダ油を使用していた箇所をオリーブオイルで代用することがおすすめです。
オリーブオイルの選び方
おすすめは「エキストラバージンオリーブオイル」
健康や美容にもよいオリーブオイルですが、最もおすすめするのは「エキストラバージンオリーブオイル」です。
他のオリーブオイルに比べて精製の度合いが最も低く、期待される抗酸化作用の成分にダメージを受けていることが少ないためです。その分値段は高くはなりますが、高価な分よりよい効果を期待できます。
確認ポイント1:遮光性のある容器に入っている?
オリーブオイルは光に弱く、室内の蛍光灯の光でも酸化が進んでしまいます。上質なオリーブオイルを選ぶためには、遮光性の高い濃い緑や青の色に入ったものがよいでしょう。
確認ポイント2:酸度は0.8%以下になっている?
オリーブオイルのランクは酸度の数値によって分かれています。この数値が低ければ低いほど鮮度が良いことを示し、0.8%以下になっているものがエキストラバージンオリーブオイルと認定されます。
確認ポイント3:生産地はどこ?
オリーブオイルによっては生産地域や収穫時期などの生産情報が記載されている場合があります。しっかりと情報が記載されているものの方がより安心ですね。裏面を確認してチェックしてみてください。