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HSPとは
HSP（Highly Sensitive Person）は非常に繊細な気質を持つ人を指し、神経系の違いから外部の刺激に対して通常の人よりも敏感に反応します。人口の約15〜20％がHSPとされ、生物学的なこの気質は成長や環境の影響を受けても完全に変わることはないと言われています。
HSPは診断名ではなく、病気や障害でもありません。あくまで個々の気質を表す言葉であり、「敏感さ」を特徴とする人々が持つ特性を理解するための概念です。
HSPの特徴
HSPの特徴は「DOES」という4つの要素に集約されます。
Depth of Processing（処理の深さ）
HSPはものごとを深く考え、情報をていねいに処理する傾向があります。ささいなできごとや言葉の裏側にある意味を考えるため、共感力が高く、他者の気持ちを敏感に察知します。
Overstimulation（過剰な刺激を受けやすい）
刺激に対して敏感で、音、光、人混みなどの環境要因に影響を受けやすい特徴を持ちます。多忙なスケジュールや騒がしい場所は疲労を引き起こしやすく、休息が必要です。
Emotional Reactivity（感情的反応の強さ） & Empathy（共感力）
他人の感情に対する共感力が高く、他者の喜びや悲しみを自分のことのように感じます。この感情的な反応は強みでありながら、エネルギーも消耗します。
Sensitivity to Subtle Stimuli（微細な刺激への感受性）
周囲のちょっとした変化や人々の態度の違いなど、普通なら見過ごされるようなささいな刺激に気づきやすい特徴を持ちます。観察力が鋭く、気にしすぎるとストレスがかかります。
HSPが仕事が続かない原因
周りに相談できず抱え込んでしまう
会社に所属して仕事をするにあたって一人で全てこなすことは絶対にありえないですよね。やり方がわからない、この方向性でいいのか不安、手伝ってほしいことがあるけど言えないなんてHSPさんはたくさんいるはず。
周りからの評価を気にしてしまうHSPさんは、「そんなこともできないの？」「忙しいから邪魔してほしくない」のような相手の感情を想像してしまって動けなくなってしまいます。こうなると全部自分で抱え込んでしまうことに。
自分で抱え込んでしまうことで以下のような問題が…
・残業がちになって心身ともに疲れ果てる
・溜まった業務をこなすために１個あたりの仕事の質が低下する
・こなした仕事の方向性が間違っていて最初からやりなおし
・先送りにしていた業務を忘れてしまう
・こなすために小さな嘘をついてしまう
誰かに相談する、助けを求められる人であれば、早い段階で周りの協力を得ることでことが重大化しない場合がほとんどです。
一方で溜め込みがちなHSPさんは、ギリギリまで自分で頑張ろうとして手遅れになることも。
ただでさえ周りの評価を気にしがちなのに、こんな状況で会社に迷惑をかけてしまったら居場所がないと思ってしまって会社をやめてしまう結果に…。
個人的にこの原因がとても問題になる点だと感じています。
周囲の些細な一言に傷つきやすい
仕事を潤滑にこなす上で、全ての社員が自身の働き方を改善しながら進んでいかなければいけないですよね。
例えばHSPさんがこんな一言をかけられたらどのように思うでしょう？
もっと頑張ろう！
「一緒に頑張ろう！」とポジティブに捉えられる人もいれば、HSPさんの場合は「今のままじゃ不十分だ、もっともっと頑張りなさい」という風に捉えてしまうことも。
もしそこまで力をいれていない事だったら言葉の通り「もっと頑張らなきゃな！」と思えるかもしれません。
一方でまじめなHSPさんには頑張った上でこんな言葉をかけられてしまう状況も…。頑張った上で、もっと頑張れと言われているように感じると、多大なプレッシャーと相手に嫌われたのじゃないかという不安がHSPさんを襲います。
考えすぎてしまう傾向のあるHSPさんは、このような些細な一言でも自分が否定されたと感じてしまうことがあり、とても落ち込んでしまいます。
切り替えがあまり得意でないHSPさんは、この一件をしばらく引きずって仕事のパフォーマンスも向上しません。こうなると負のループにハマります。
仕事のパフォーマンスが上がらないことで些細なミスをし、それに対して自身に向けられた言葉で更に深みにハマっていくのです。
その結果、人に話せずに抱え込んでしまってメンタルがやられてしまって仕事を辞めるという結果になることも。
まじめな性格が邪魔をする
HSPさんはまじめで完璧主義の人が多くいます。仕事に取り組む上でとっても素敵な能力ですが、時にはこれが邪魔してしまうことも。
みんな色々な状況で仕事をしている中、ストレス発散のための雑談や愚痴の言い合いなどの場があることも多いですよね。
こんな状況が２つの理由から得意ではないのです。
うるさくて集中できない
実際は周りが仕事ができないほどうるさいことはないでしょう。でもHSPさんは五感が鋭く、刺激に敏感なため普通の話し声でも気になって集中できないことも。
特に周りからの評価を気にしがちなHSPさんは「自分のこと言われていないかな？」と不安になったり、聞きたくもないけどそちらの音ばかり入ってきてしまうことが多くあります。
まじめに仕事をしないのが許せない
とにかくまじめで完璧にこなそうとするHSPさん。いっつもおしゃべりばかりする人が周りなんかにいたらとってもイライラしてしまいます。
おしゃべりはしても結果を残す人であれば諦めもつきますが、おしゃべりばかりして仕事もろくにこなせない人がいると心の中では「そんなんだからできないんだよ」「もっとまじめに取り組めよ」「やってるこっちが馬鹿らしくなるよ」なんてモヤモヤした感情が頭の中にあふれかえることになります。
仕事を断れない
HSPさんは頼むことが苦手な上に、断ることも大の苦手です。理由は相手に嫌われたくないから。こうなると仕事は溜まる一方です。
なんとか自分でこなせればいいものの、残業が増えがちになって心身ともに疲れ果てていきます。
相談もできずに一人で頑張り、周りの環境にもストレスを感じていると心が壊れてしまう原因に。
人間関係で板挟みになることが多い
嫌われてくないという心理から、八方美人になりがちなのがHSPさん。HSPさんは聞き上手な上に、うまく相手にも話をあわせられるので色々な話題の話を聞くことも。
自身はうまく立ち回っているつもりでも、実は自分の周りの仲がよくなかったりすると板挟み状態になってしまいます。
嫌だな、めんどくさいなと思いながらもまじめなHSPさんは仕事を頑張ります。「会社のために頑張らなきゃ」と。
お互いの言い分もわからないこともない場合がありますが、そもそもそんな個人間の小さい悩みに付き合わされるのがストレスです。
「仕事なんだから割り切れよ」「子どもじゃないんだから我慢しろよ」など終いには仲良くやっていたはずの人たちのことがだんだんと嫌いになっていくことも。
こうなるとなんのために仕事をしているかわからなくなったり、自分が頑張っていることがバカバカしくなったりして一気に冷めてしまうのです。
頑張ることが得意なHSPさんでも、著しいモチベーションの低下はとてもしんどいものです。
隣の芝が青く見えるように、別の職場に転職してリセットして頑張ろうという気持ちになってしまうので注意。
変化に耐えられない
まじめで完璧主義のHSPさん、任せられた仕事は精一杯こなします。さらに向上心があるので、よりよくするためにはどのようにすればいいかも一生懸命考えます。
そうしてある程度のやり方を確立し、その後も頑張って仕事をこなしていくのですが、複数にわたる部署異動や方針転換などで変化が激しいとついていけなくなります。
人間関係の再構築、仕事の再構築など一からやるにはとてつもないエネルギーが必要です。安定を求めがちなHSPさんにとって変化が多い職場はつかれてしまう職場の筆頭候補です。
変化することが嫌なわけではなく、過剰な変化に敏感になるのです。
HSPと仕事
得意な仕事の特徴
静かで集中できる環境の仕事
HSPさんは人とのコミュニケーションはできるものの、同時にストレスも蓄積して行ってしまいます。自分のペースで集中できたり、注意深さを発揮できたりする仕事が得意です。
【例】ライター、編集者、プログラマー、デザイナー
共感力が活かせる仕事
HSPさんは人の気持ちを理解し、寄り添う能力に優れています。相手の話を聞きながら対応するような仕事が得意です。
【例】カウンセラー、セラピスト、看護師、社会福祉士
創造的な仕事
HSPさんは感受性が豊かで何かを創り上げることが得意です。細部へのこだわりをクリエイティブな仕事に活かすことができます。
【例】アーティスト、作家、イラストレーター、ミュージシャン
専門性が求められる仕事
HSPさんはものごとを深く考えることが得意です。一つのテーマを深く探求するような仕事に活かせます。
【例】研究者、分析官
サポートや裏方の仕事
HSPさんは細やかな気配りができます。サポートする立場に経って縁の下の力持ちとして力を発揮できます。
【例】秘書、管理スタッフ、バックオフィス業務
苦手な仕事の特徴
刺激が多い仕事
五感が鋭いHSPさんは光や音を含めた刺激が苦手です。騒音や一度に多くの人を相手にしなければいけない仕事ではストレスが溜まってしまいます。
【例】接客業（混雑する店舗）、イベントスタッフ
競争が求められる仕事
HSPさんは締め切りや人との競争など絶えず評価されるプレッシャーが苦手です。ノルマがあるような仕事は向いていません。
【例】営業、広告代理店、成績重視の販売職
即断即決が必要な仕事
HSPさんは緊張を強いられるような状況に弱く、とてもストレスがかかります。常に気を張っていなければ行けない仕事は苦手です。
【例】救急医療、警備員、消防士
対人トラブルが多い仕事
共感能力が高いHSPさんは感情的な影響を受けやすく、対立的な立場で相手と接しなければいけない仕事は苦手です。
【例】クレーム対応、法務担当
HSP気質との向き合い方
HSPは性格や病気ではなく持ち合わせている気質で、治るものではありません。そのため自分の気質を理解した上でうまく付き合っていく必要があります。
ここでは、HSP気質とうまく付き合っていくコツを紹介します。
自分の特性を理解する
五感が鋭いHSPさんはどのような状況でも疲れやすくなってしまいます、まぶしさがきついならサングラス、音がうるさいならイヤホンなど、自分に合った刺激の調整法を身につけましょう。
適切な休息を取る
たくさんの人と関わる時間にあふれているとどうしても疲れてしまいます。一人の時間や静かな場所での休息を定期的に設けましょう。
雰囲気
「無理をしない」「断る勇気を持つ」といった自分の限界を尊重しましょう。必要であれば、周囲に自分の特性を説明することも方法の一つです。ただし「特別扱いしてほしい」と勘違いされないように説明の仕方には注意しましょう。
感情の整理
HSPさんは自分の感情を溜め込んで我慢しがちです。手帳やスマホのメモなどに日記や思ったことを記載して感情を吐き出す場所を作りましょう。普段は聞き役が多いですが、信頼する人と話して話を聞いてもらう機会を設けるのも良いでしょう。
ストレス管理
溜まる一方のストレスをしっかりと管理できるようになりましょう。瞑想や深呼吸をして心を落ち着けたり、自然音を聞いたり、リラックスできる香りのアロマを利用することも良いでしょう。
まとめ
人によって得意・不得意があるのは当然。その中でHSPさんは少し敏感で苦手が多いのかもしれません。
でもまじめな点、細かいところに気づく点などサポートをさせたら天下一品です。
しっかりと自分の力が発揮できる環境で働くのが幸せな人生を歩む第一歩になります。
転職を経験した自分から言えることは、恐れずにチャレンジしてみるのがおすすめ！ということ。
あなたの能力を求めている職場だってちゃんとありますよ。
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